きょうは、朝から、本の撮影にやってきている、椿野さんとりじゃ、けんちゃん、しゅうじといっしょにはちみつを採集にでかけました。
それは、亡くなった晴一さんが山のあちらこちらに、置いたはちの巣箱をとってもいいよと、やえちゃんに声をかけられ、わたしの夢だった、はちみつとりがかなったのでした。 晴一さんがげんきだったころ、わたしは、ならっておこうと決心したのですが、夢がかなうまえに、どんどん、晴一さんの容態がわるくなったので、もうひとりのはちみつの先生のひでおさんにおそわりながら、わたしは、ちいさな果樹園にはちの巣箱を5つすえてまっていたのです。 でも今年の分蜂の時期にははいらなかったのです。巣箱は、木の箱に蜜をぬった、原始的なもの。和蜂は、果樹園のあちこちにとんでいます。いつの日かはちが、巣箱にすをつくって、はいるのをゆめみています。 はちみつをとりにいくときは、白い服をきて、帽子にあみのようなものを、とりつけます。 まず、すぐちかくの、つねおさんちの隣に置いてあるはこをみにいきました。 そっーと、はこをひっくりかえすと、まっしろな、さんごのようなすがみえました。 はなのみつのかおりが、ぷーんとあたりいちめんにひろがりました。うっとりしていると、いきなり、天敵のスズメバチの偵察隊が2匹やってきました。どのはちの巣箱のばしょにも、晴一さんは、はえたたきをおいてくれていたので、ぱちんとたたきます。 そっと、ひっくりかえすと、そのはこには、はちみつたっぷりの、巣があったのですが、はちは、どこかほかの巣箱にひっこしたあとでした。 鉄のながいぼうのようなへら、ねんどのへらをでっかくした道具をひでちゃんがとりだして、はこのそこをごしぎしすると、白いお布団みたいな巣が、するすると、でてきました。みつをなめてみると、あまくて、はなのかおりがします。さらさらのみつです。 おおきな、おけにいれて、つぎの山においてある場所に、でかけます。 こんどの箱には、はちがぶんぶんとびまわっていました。そーっとはこをひっくりかえすと、はこいっぱいにはちみつの巣。こんどのすは、きいろいろです。とびまわるはちが、いまあつめたばかりの、黄色い花粉をボールのように、あしにつけていて、なんともかわいいすがたです。 みつをなめると、ここのは、ちゃいろくて、ねっとりしています。 こんどの箱には,はちがいっぱいなので、うえにもってきたはこをのせて、鉄の棒の道具で箱をたたき,はちが上に移動するのをまちます。もつれかさなり、はちのだんごがどっさりおちると、みんなのまわりが、はちだらけになりました。ぼうしのあみをかぶり、じっとしています。みつばちは、さしたりせず、しずかにおさまるまでまちます。女王蜂がうえの巣箱に移動すると、まもなく、ほかのはちもついていくので、しだいにしずかになります。はちたちのはねおとが山のひぐらしのなきごえのなか、ぶーんとひびきわたります。なにか、べつものの世界がくりひろげられています。 わたしたちが、くらしているあいだ、わらったり、ないたり、けんかしたり、そのあいだも、はちたちは、みつをはなからあつめて、ここにたくわえているのでしょう。 まったく、ナウシカの世界のようです。ほんとに私たちのすぐよこで、みつばちたちのはたらきが、このはちみつになっているのです。きくと、ひでおさんのおとうさんが、はちを飼っていて、こういうわざをおそわったとのこと。はちみつとりは、なにか、原始的なしごとだとおもいました。 巣箱をおいて、はちが気にいって、すをつくるのを、ひたすらまつのです。 わたしたちは、ほかのすずめばちやら、ありやら、すむしから、おそうじしたりして、手助けしながら、あとは、はちみつをいただくのです。そうして、6個のはこから、蜂の巣を取り出すと、ゆうぐれどきになりました。なんともいえぬほど、充実したしごとだと、きもちがわくわくしました。 これは、縄文時代から、私たちの遺伝子のなかにある、狩猟採集のわくわくが、みたされた感じです。 みんなも、すごいねーと、かおがにこにこです。 かえってからが、たいへんでした。わがやが、はちみつ工場のようになりました。おおきなおけにざるのようなものをセットした道具を晴一さんは、ちゃーんとつくっていたのです。 どこのすばこにも、晴一さんの仕事の手あとがかんじられ、あらためて、やまのひとだったんだなあと感心しました。とちゅうから、中学生の鯛もやってきて、しゅうじとともにおとななみのはたらきでした。楽しかったんだとおもいます。やまのぼり、岩場のロッククライイミングみたいな、ところもあって、ワイルドないちにちでした。こうして、わが家のはちみつの自給自足は、はじまったばかりですが、こんどは、わたしの巣箱にみつばちがはいる日を、ゆめみています。 そして、こころから、晴一さんのおくりものにありがとう。森のおくりものは、動物だけじゃなく、人間も養うほどふところのでかさに、ただただ、おおきなものを感じるのでした。
by tanemakibito
| 2008-08-06 09:39
| うねうね日記
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